竹本さんからの案内を掲載します。(村山) 環境史研究会メンバー各位 竹本です。 厳しい日差しが降り注ぎ、梅雨の季節がはやくも終わりを迎えそうです。 みなさまいかがお過ごしでしょうか。 第6回環境史研究会ワークショップのお知らせです。 今回は、「オアシスの水が涸れる日」について中尾正義さんが、「1940年代以降の華北農村における土資源利用の変化」について栗山知之さんが発表されます。奮ってご参加ください。ワークショップの後には暑気払い(懇親会)も予定しております。あわせて参加いただければ幸いです。 【日 時】 2011年7月23日(土)14時~18時 【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室 *前回(第5回ワークショップ)と同じ場所です。 【報告者・題目と概要】 中尾正義(人間文化研究機構)「オアシスの水が涸れる日」 ユーラシア大陸の中央部は、かつては歴史の表舞台であった。名だたる遊牧帝国が交錯し、農業を主とする中華帝国と抗争や融和を繰り返してきた広大な乾燥地域である。わずかの降水しかない同地域では、氷河や多量の降水がある山岳地からの河川水や地下水が最も得やすいオアシスに多くの人々が住み着いてきた。オアシスの水にも、気候変動や人の営みに起因する栄枯盛衰がある。オアシスの水が涸れた昔とオアシスの水が涸れつつある今を語る。 栗山知之(慶應義塾大学文学研究科)「1940年代以降の華北農村における土資源利用の変化―渭河平原・祝家荘を事例として―」 中国における農村景観の歴史は、これまで主に農業史研究の生業論で扱われ、耕地分布・宅地の変化に関する地理学的研究も散見される。しかし、華北畑作地帯を取り上げた事例は見受けられず、近現代の社会変化が個人・集団に与えた影響を村落スケールで分析した事例も極めて少ない。乾燥地に即した生活様式が育まれ、土資源が建材の製造や人間・家畜の糞尿処理に用いられた後、肥料として耕地に施用されてきた華北農村。そこでは頻繁に採土活動が繰り返されるなか、宅地周囲に窪地が拡大してきた。こうした窪地は、住民達が大地に刻んだ歴史資料(土資源利用の履歴を示すもの)にほかならない。本発表では、「土壕」と呼ばれるとりわけ大規模な窪地が宅地を取り囲む渭河平原、陝西省宝鶏市岐山県祝家荘鎮小強村祝西組・祝南組・高家組・王家組で構成される村落で調査を実施、1940年代以降の同村落における土資源利用の変化を明らかにする。
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環境史研究会第5回ワークショップのご案内
5月14日に予定している第5回ワークショップについて、井黒さんの発表内容に変更がありましたので、お知らせいたします。それ以外の変更はありません。奮ってご参加ください。どうぞよろしくお願いします。 【日 時】 2011年5月14日(土)14時から 【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室 *前回(第4回ワークショップ)と場所が異なりますのでご注意ください。 1号館3階で、第3回ワークショップのときに使用した部屋です。 以下、変更後の内容です。 ************************************** 【発表題目と概要】 ◎「消えゆく水と現れでる碑(いしぶみ)―歴史的水利用方式にみる環境と社会―」 井黒 忍 (早稲田大学高等研究所・助教) 「水の世紀」とも称される21世紀、沙漠化の拡大や水資源の偏在、水質の悪化など水をめぐる諸種の環境問題が人類の生存を脅かす主要因となりつつある。人間活動が自然環境に負荷を与え、そのリアクションとして環境問題が生じるという意味において、環境問題は人類自身の内面的問題でもある。したがって、問題解決のためには工学的な是正策が追求されることはもとより、人類自身のこれまでの歩み―歴史の中から問題点を抽出し、解決への糸口を探り出す努力が必要となる。そこで注目すべきは、年間降水量500mm以下の乾燥・半乾燥地域における水資源利用に関する歴史的経験である。水資源の有無が食糧生産および生命維持に対するリミティングファクターとなる同地域において、限りある水資源をいかに利用・分配し人類は生き続けてきたのか。水利用に関わる様々な碑刻資料の分析を通して、水利用方式や水利権の形態を考察し、歴史的経験の中で培われた持続可能な水利用のあり方を明らかにする。 ◎「環境史研究の射程」 環境史研究会 発起人 環境史研究会の今後を考えるラウンドテーブル
環境史研究会第5回ワークショップ開催のご案内(村山)
環境史研究会第5回ワークショップは、5月14日に開催します。内容等は、3月14日に開催を予定していたものと同じです。東北関東大震災の影響は想像を絶するものであり、復興への道筋はまだまだ遠いと思われますが、環境史研究会としてもできることを考えていきたいと思いますし、また実行できることは早急に着手したいと思います。 取り急ぎ、ご連絡致します。
第5回環境史研究会ワークショップについて(村山)
環境史研究会のみなさま 想像を絶する甚大な被害をもたらした東北関東大震災ですが、みなさまのご無事を切に願っております。環境史研究に携わる者として深い悲しみを覚えると同時に、環境史研究会の役割や意義についてもさらに考えさせられているところです。 明日14日に第5回環境史研究会ワークショップの開催を予定しておりましたが、すでにメイリングリストに登録されている方々には連絡させて頂きましたように、ワークショップとしては延期をすることにしました。ただ、急な中止の連絡のこともあり、集まれるメンバーで今後についての話し合いを午後1時過ぎから行うことにしました。 被災地におけるできるだけ迅速な復旧を望むと共に、今自分ができること、そして改めて環境史研究の役割や意義について考えてみたいと思います。 2011年3月13日村山記
第5回環境史研究会ワークショップのご案内
第5回環境史研究会ワークショップのお知らせです。今回は「18世紀河西地域の水利開発に見る塩害と沙漠化対策」について井黒忍さんが発表されます。また発表者は一人に絞り、余った時間で、「環境史研究の射程」と題して、環境史研究会の今後を考えるラウンドテーブルを開催するということになりました。みなさまの貴重なご意見をいただきたく、ぜひ奮ってご参加ください。 【日 時】 2011年3月14日(月)14時から 【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室 *前回(第4回ワークショップ)と場所が異なりますのでご注意ください。1号館3階で、第3回ワークショップのときに使用した部屋です。 【発表題目と概要】 「18世紀河西地域の水利開発に見る塩害と沙漠化対策」 井黒 忍 (早稲田大学高等研究所) 河西回廊の名で知られる中国甘粛省西部は、年平均降水量100mm以下の乾燥地に当たり、古来より祁連山に源を発する内陸河川を利用した灌漑農業が行われてきた。但し、オアシスを一歩離れると、塩類集積が発生し風沙が堆積する荒漠地が拡がるという景観が存在した。18世紀における新たな耕地開発の背景には、清朝による新疆制圧という国家政策が存在した。政治的使命としての耕地拡大の要求は、それまで耕作不可能な土地として抛棄されてきたオアシス周縁地にまでその触手を伸ばし、灌漑水路の整備を通して新たな耕作地の開発が進展する。灌漑水路の開削と整備という方法を通して、塩類集積と風沙堆積に対する総合的な取り組みがなされ、塩害地の耕地化が実現されたが、排水施設の欠如と政策の転換による屯田地の放棄により、沙漠化に一層の拍車がかかることとなる。 「環境史研究の射程」 環境史研究会 発起人 環境史研究会の今後を考えるラウンドテーブル
国際研究支援センター研究会シリーズ 第3回
国際研究支援センター研究会シリーズ 第3回 ネパールが抱える課題に挑戦してみませんか ―気候変動にかかわる諸問題と香川大学との共同研究への期待- 香川大学インターナショナルオフィス国際研究支援センターでは、香川大学における国際的な研究活動の推進のため、研究会シリーズを開催しています。 今回は、ヒマラヤ山脈に位置するネパール連邦民主共和国で土砂災害防止に関する研究を続けている長谷川修一氏(本学工学部教授)とランジャン・クマール・ダハル氏(トリブバン大学講師)による報告です。ネパールでは近年、洪水や土砂崩れといった災害が続き、人命や農作物に対する被害が相次いでいます。災害防止には土木技術、公衆衛生、農業と農村支援、環境保全、法整備といった様々な分野を含む包括的な防災対策が不可欠です。日本・ネパール間では昨年クールアース・パートナーシップが結ばれ、気候変動対策支援が開始されました。こうした流れの中で香川大学では先月、ネパール唯一の国立大学、トリブバン大学と学術交流協定を締結し、工学部を中心とした共同研究を進めています。 本研究会ではネパールの抱える課題や同国と香川大学との関係の概観し、今後いかなる交流や研究協力が可能かを探ります(報告要旨もご覧ください)。オープンな研究会ですので、皆様お気軽にお越しください。 記 日時:2月2日(水)14:40~16:10 場所:工学部キャンパス 本館1階 会議室 ※他のキャンパスはテレビ会議システムを使って開催予定 幸町キャンパス 遠隔教育調査研究室(教育学部2号館2階) 医学部キャンパス 旧学長室 農学部キャンパス BW106 プログラム 14:40 開会の挨拶(国際研究支援センター センター長 村山聡) 14:45 ネパールならびにダハル氏の紹介 (工学部 教授 長谷川修一) 14:55 報告「ネパールが直面する気候変動にかかわる諸問題と香川大学との共同研究への期待」(トリブバン大学 講師 ランジャン・クマール・ダハル) 15:35 質疑応答 16:10 閉会 ※本研究会は参加無料、事前予約不要です。 問い合わせ先: インターナショナルオフィス 細田 hosoda(あっと)cc.kagawa-u.ac.jp 国際グループ 宮下/野田 kokusait(あっと)jim.ao.kagawa-u.ac.jp
講演会「日本の自然史研究におけるシーボルトの貢献」のご案内(村山)
新年あけましておめでとうございます。 さて早速ですが、香川大学において、1月18日火曜日午後4時20分から午後5時50分にかけて、元熊本大学教授山口隆男先生をお招きして、「日本の自然史研究におけるシーボルトの貢献」と題した講演会を開催致します。聴講は無料で特に制約などはありませんので、自由にご参加頂ければと思います。講演場所等は以下の通りです。 日 時: 平成23年1月18日(火) 16:20~17:50(5時限目) 場 所: 香川大学教育学部2号館 2F 遠隔教育調査研究室 講 師: 山口 隆男 博士 (元熊本大学教授) なお、この講演会は、香川大学特別奨励研究の助成を受けており、「知の協働を実現するディベロプメント・サイエンスの可能性」というテーマのもと、専門領域を超えた情報交換の場及び知的協同作業を実現するために開催するものです。山口先生は、オランダに40回渡航し、精力的にシーボルトの調査研究を行っておられます。
【文献案内】斎藤修先生「森林の経済史」(戸石)
慶応大学三田キャンパスにて未来先導チェアシップ講座「歴史のなかの人口・経済・環境(野村證券チェアシップ講座)」が行われております(1月まで)。 10月21日、28日には斎藤修先生が「森林の経済史」というタイトルで講演を行われました。私は都合が悪く、出席できなかったものの、その後斎藤先生からその時の内容にあたる論文(英文)が一橋大学のレポジトリでダウンロードできる旨お伺いしましたので、ご案内させいただきます。 タイトル:“Forest history and the Great Divergence : China, Japan, and the West compared” 場所:http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/handle/10086/18736 森林史に興味をお持ちの皆様、ぜひご覧ください。
訂正=ルーラルヒストリー2010
先日投稿したイギリスの「Rural History 2010」の記事ですが、一部、意味が不明なところがありましたので、訂正して再度お送りします。 もはや三ヶ月もまえのことですが、9月13日から16日までブライトンのサセックス大学で開催されたルーラル・ヒストリー2010に全日参加してきました(ヨーロッパ、アジア他世界各国から多くの研究者が参加していました)ので、環境史との関係から、いくつかレポートを── (1)ヨーロッパ・ルーラル・ヒストリー学会の創立が、9月15日の会議で決定しました。学会長は、Prof. Richard Hoyleです。支部があるのはヨーロッパのみになりますが、ヨーロッパ以外の地域からの参加・ヨーロッパ以外の地域を対象とした報告もウェルカムということです。みなさまもぜひ参加・発表してみてください。初回の開催は2から3年後になるとのことです。 (2)もっとも環境史に近いセッションとしては、Agricultural research, peasant farming and the Green Revolutionというものがありました。これは、マンチェスター大学のProf. Jonathan Harwoodがオーガナイザーをしたもので、グリーンレボリューションを歴史的に読み直そうとする試みでした。イギリスの植民地での育種、ソヴィエト・ロシアの育種学などなど、興味深い内容でした。Harwoodさんは日本の品種改良にも興味をもっておられたので、以前からメールでやりとりしていたのですが、品種改良は環境史のテーマとしても重要なものだと再認識しました。ほかにも、有機農業の歴史、水利、オランダの干拓と農民、イングランドとウェールズの景観政策、林業家のオーラルヒストリー、農業経営類型分布の視覚的分類、農民のイメージ論、農村のメディア論、「ファシズムと近代」再審(私はこのセッションに参加したのですが)など、農業史の対象や方法の多様化を感じることができました。従来型の文献史学も健在ですが、統計やグラフィックなど高度なコンピューター技術が使用されているものもあり、驚きました。また、経済学的分析のみならず、文化史的分析も多く、個人的にはたいへん参考になりました。
東文研セミナーのご案内「環境史と世界史の編纂――中国の実践と構想から」(報告者包茂紅先生)
流通経済大の原宗子先生から包茂紅先生の報告についてのご案内をいただいたので、転載させていただきます。 特に中国の研究動向に興味のある方は奮ってご参加くださいませ。 * 下記の通り東文研セミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。尚、本セミナーは東文研と北京大学歴史系との学術交流の一環として行うものです。 タイトル:環境史と世界史の編纂――中国の実践と構想から 報告者:包 茂紅(北京大学歴史系副教授) 司会者:安冨 歩(東京大学東洋文化研究所教授) コメンテーター:羽田 正(東京大学東洋文化研究所長) 日時: 2010年12月15日(水)午後3時~5時 場所: 東洋文化研究所 第一会議室(3階304) 言語: 中国語(通訳あり)、英語 報告要旨:現在、国際史学界では世界史の再認識と再構築が進められているが、その方策の一つに環境史という視点がある。環境史研究を通じての世界史の再構築は、国際レベルでは、既に一定の成果が見られる。しかし中国では、新世界史体系に関する議論自体が始まったばかりであり、また環境史研究も依然として初歩的段階にある。中国では今、若い世代の世界史学者や環境史学者が中心となって、国際的学術交流を通じて、新世界史の創造という試みに取り組み始めている。本報告では、中国での環境史と世界史の編纂について、これまでの取り組みや今後の構想という視点から、(1)中国の世界史研究、(2)中国の環境史研究、(3)新たな世界史の構築に対する環境史の意義という三部構成で論ずる。