第3回環境史研究会ワークショップのお知らせです。
今回は環境政策史に関する発表を喜多川さんが、1930年代の中国における植林・緑化・造林政策に関する発表を村松さんがなさいます。
奮ってご参加ください。
【日 時】 2010年10月2日(土)14時から
【場 所】 東京大学農学部1号館 農経会議室
*前回(第2回ワークショップ)と同じ場所です
【発表題目と概要】
「環境政策史研究の構想と意義」 喜多川 進 (山梨大学)
近年、環境問題への関心が高まるなか、様々な学問分野で環境政策の内容や運用の実際をめぐる研究がなされるようになったが、環境政策がどのような過程を経て成立するに至ったかについての研究は、十分になされていないのが現状である。すなわち、環境政策の誕生背景、政策過程、その後の変遷を、政治的、社会的、経済的文脈のなかに位置付けて歴史的に研究することは、特にわが国ではほとんど注目されてこなかった。そこで、本報告では環境政策の展開を歴史的に考察する「環境政策史(Environmental Policy History)」という新しい研究分野の可能性と意義を議論してみたい。
本報告は2部構成である。第一部は方法論編であり、環境政策史の概要、方法、学問的位置付けを議論する。その際、環境史、環境経済史等の環境問題に関する歴史研究と環境政策史研究の比較もおこなう。第二部では環境政策史のケース・スタディとして、ドイツの廃棄物減量化政策をとりあげる。ケース・スタディを踏まえて、環境政策史の意義と課題を考察したい。
「近代陝西省における植林・緑化政策」 村松 弘一 (学習院大学東洋文化研究所)
本報告では、1930年代の南京国民政府期の陝西省の植林・緑化・造林に関する政策に焦点を絞り、全国経済委員会・省政府・西京籌備委員会という行政レベルの異なる機関の計画・実施状況を比較する。それは黄土高原の地域ごとの生態環境保全の方法について考える材料を歴史資料のなかからよみとる試みでもある。
※ 報告者は中国古代の環境史を研究しているが、近年、環境法の執行とガバナンスにかかわる研究会に所属している。今回は、その研究会での報告を基礎に森林史・林学の研究者が多く集まる本会にてご意見をお聞きしたいと考え、本テーマを報告することとしました。