第10回環境史研究会ワークショップ(10/7)のお知らせ

竹本です。

9月も半ばというのに、いつまでも盛夏のような酷暑が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。第10回環境史研究会ワークショップのお知らせです(ついに10回!)。

今回は、動物がテーマです。

「象の涙―ダーウィン『人間と動物の感情表現』をめぐる考察」を伊東剛史さんが、「『野生動物』の思想史:日本における動物学・自然・社会」を瀬戸口明久さんが報告されます。奮って参加ください。

ワークショップの後には懇親会も予定しております。あわせて参加いただければ幸いです。

【日 時】 2012年10月7日(日)14時~18時

*開始時間が14時からになっています。お気をつけください。

【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室(未定)

*前回(第9回ワークショップ)と同じ場所を予定しています。

【発表題目と概要】

「象の涙―ダーウィン『人間と動物の感情表現』をめぐる考察」    伊東剛史(金沢学院大学)

「動物の権利」論において、ダーウィンは人間と動物との間に本質的な差異が存在しないことを証明した最初の科学者であると位置づけられている。特に、それまで人間のみが持つとされていた「高度な知性」、「道徳的観念」、「感情表現」が、動物にも存在すると明らかにしたことの意義が強調されている。一方、ダーウィンが同時代の動物福祉運動に与えた影響については、ようやく本格的な研究が始まったばかりである。こうした状況をふまえたうえで、本報告では、ダーウィンが『人間と動物の感情表現』(1872年)執筆中に見せた、ゾウが涙を流すという現象への「執着」に着目し、emotion — science — sympathy という3つのキーワードを軸に、いくつか議論を組み立ててみたい。始めたばかりの研究だが、最終的には、イギリスの動物福祉思想の歴史的展開を俯瞰し、その中にダーウィンを再定位したいと考えている。

「『野生動物』の思想史:日本における動物学・自然・社会」     瀬戸口明久(大阪市立大学)

この報告では、「野生動物」という概念の展開を通して、近代日本における自然と社会の関係について考察する。日本において人間から切り離された存在としての「野生動物」に価値が見出されるようになったのは1930年代のことである。本報告ではまず1934年に設立された「日本野鳥の会」に注目し、後半では1950年代から70年代にかけて流行した「野猿公苑」を取り上げる。これら2つの事例から、動物学研究や都市におけるレジャーの流行、地域開発など、さまざまな要因がからみあって、「野生動物」の意味を形づくってきたことが明らかになる。最後に現在のトキやコウノトリの野生復帰において「野生」が持つ新たな意味についても言及したい。

以上、よろしくお願いします。

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