日本学術振興会(JSPS)における研究拠点形成事業(Core-to-Core Program)の一つとして、課題「アジアの気候変動科学と適応現場を往還するネットワーク拠点の形成」に取り組んでいます。実施期間は2023年4月1日から2026年3月31日までの3年間で、下記の概念図に示した国際研究交流ネットワークの構築を目指します。

研究交流計画の目標

本課題では、香川大学と南アジア(インド・バングラデシュ・ネパール)との強い関係を、気候変動メカニズム科学と気候変動適応科学が結びついた南アジア気候変動科学の研究拠点に結実させます。

ネットワーク拠点:ICEDSを国際研究ネットワーク拠点に育て、本研究に参加する5つの協定校と、14の拠点・協力機関・その他の協力研究者を束ねてさらに広げます。また、南アジア気候変動科学の国際プロジェクトAsiaPEX、SOHMON、Living Spaces Project の共同事務局とし、日本を含むアジアの若手・研究者の国際交流をコーディネートします。

研究ハブ:国際研究拠点として新たに「レジリエンスデザインセンター(仮称)・気候変動適応研究部門(ccARG)」を香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構(IECMS)内に設置します。研究ハブとして国内外に分散する研究者を束ねて組織的に共同研究を推進し、SATREPS・科研費国際先導研究等の獲得・推進基盤とし、ポスドク雇用も進めます。

教育ハブ:2024年度に博士課程が設置される学際型の創発科学研究科の循環型環境デザイン・危機管理学・インフラアセットマネジメントの3ユニットの連携を基盤に、国際的に活躍でき、自立して研究をデザインできる研究者を育成する本学自身の若手育成拠点に育てます。

研究交流計画の概要

共同研究:「レジリエンスデザインセンター・気候変動適応研究部門(ccARG)」内に3-5年時限のプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、得意分野を活かして参加機関・参加研究者を加えて共同研究の核とします。各種外部資金獲得の基盤となり、現地調査・若手参加とポスドク雇用をコーディネートする中で、南アジアの切実な気候変動課題と結合した気候変動科学の4つの研究課題を推進するPTを立ち上げます。

[R1]プレモンスーン/モンスーン変貌予測研究:社会影響の大きな降水パターン変貌の検出と予測
[R2]インフラアセット気候変動適応デザイン研究:気候変動適応コストを下げるインフラデザイン研究
[R3]陸面大気カップリングインパクト研究:極端熱波や極端豪雨の背景となる未知の陸面過程を解明
[R4]ヒマラヤ山岳降水と氷河研究:南アジアの水資源を左右する不確実性の高い水文気候学的過程を解明

セミナー:ICEDSを日本側事務局に、年次「気候変動科学ワークショップ」を現地諸機関と共催(2023 年度バングラデシュ・2024 年度インド・2025 年度ネパール)し、気候変動科学の成果を交流します。開催国の切実な気候変動適応の現場へのエクスカーションを含む「気候変動オンサイトセミナー」を同時開催し、地域ステークホルダー、現地研究者、本事業参加の研究者や若手による発表と交流、巡検等を行い記録に残します。

研究者交流:日本と交流相手国の若手研究者を招き、バングラデシュの拠点機関であるダッカ大学気象学科にて「先端研究手法スクール」を年次開催します。データ解析手法や気候モデル・水文モデル計算技術など、年ごとに異なるテーマで実施します。日本と交流相手国の連携機関・協力機関による若手を含む研究者の短期・長期の相互受け入れ、研究手法研修コース、共同研究論文作成を目的とした小規模ワークショップをコーディネートします。各機関の得意を活かし、外部資金の獲得により規模を広げます。

Core-to-Core Programに関するJSPSの詳細ページはこちら

本課題に関するJSPSの詳細ページはこちら

Core-to-Coreの記事一覧