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ICEDS・SDGs教育プロジェクト「やってみるSDGsレシピ」を公開しました
香川大学は、ICEDS・SDGs教育プロジェクトの一環として、15個の「やってみるSDGsレシピ」を公開しました。本レシピはSDGs17の目標に即しており、学生は、自身が興味関心を持つレシピに取り組み、そこで得た学びや気づきをレポートにまとめて報告します。 ▼「やってみるSDGsレシピ」一覧 1.二酸化炭素は緑の樹々による光合成で減少することを実感してみよう2.在来作物を探す3.キャンパスにどんな生物がいるのか名前を調べてみよう4.京エコロジーセンターをオンラインで見学しよう!5.石垣を見て・触れて,石の声を聴いてみよう6.ペットボトルを分別して削減量を計算してみよう!7.身近にある日本語を「優しい日本語」にしてみよう8.社会的企業をデザインしてみよう9.簡易的な地力測定をすることによって作物栽培における肥料の投入量を最少化可能!?10.色々な非市場価値を推計してみよう11.室内のCO2濃度と空調目的エネルギー使用量の関係を見てみよう12.台所洗剤の使用量に着目して、少ない洗剤量で、また少ない水量で 洗い上げることができる洗い方を実践しよう13.エシカル消費14.高松の水車の遺構に行こう15.高松市に古くから残存する唯一の水車「高原水車」に行ってみよう!
雲をつくる話
今年始まった全学共通科目「やってみる科学」で、ペットボトルに雲をつくる実験をやってみる試みをしています。 定番の実験ではありますが、エアロゾル(数ミクロン以下の直径の大気中の微粒子)の濃さが光の散乱に与える影響を客観的に測定できないか、あるいは、エアロゾルの量によって雲粒のふるまいはどう見た目かわるのかしっかり見てみる。といったことを丁寧にしてみたいと感じているところです。 山本先生、石塚先生のご協力のもと、エアロゾルの粒度分布を測る測器もお借りしています。 エアロゾルの間接効果という、地球温暖化影響評価に関する重要問題につながる実験を目指します。一味違う実験を学生と楽しめたらと感じています。 ペットボトル(炭酸飲料専用)にごく少量の水を入れたうえで炭酸キーパーという簡単ポンプを装着して空気を押し込むと、ペットボトル内の気圧を大きく上げることができます。 そのまま炭酸キーパーを外して一気に空気を放出して急激に気圧を下げたとき、ペットボトル内の水蒸気がエアロゾルを核にして凝結し、雲ができます。 ここに線香の煙を加えると、ペットボトル中のエアロゾル濃度がけた違いに増加し、そこで雲をつくるととても濃い雲ができます。 懐中電灯のライトや、プロジェクターの光等を通して見ると、ペットボトルはより白く曇ると同時に、映る影は逆に暗くなることがわかります。 雲が白さを増すとともに、日射を遮る効果がより強くなることを実感できます。 そして、エアロゾルが多いほどこの効果が強くなることもわかります。 つまり、大気中の微粒子が多くなるほど、雲は白さを増し、雲の影は濃くなります。 エアロゾルは長い間、地球を寒冷化に導く可能性があるとして注目されてきました。 特に、大気に対する人の影響が大きくなるにつれ、大気汚染が進行し、エアロゾルが増加してきています。 1980年代頃までは、このことによる地球の寒冷化が強く懸念されていました。 まずはエアロゾルが増加すると日射をより多く散乱して宇宙に返してしまうことによって地表を寒くする直接効果。 そして、エアロゾルが増加すると雲がより白さを増すことによって日射をより多く散乱して地表を冷やす間接効果。 ペットボトル実験は、エアロゾルの効果による間接効果を目の前で実感できる実験として重要です。 ところで、線香の煙を入れる前の雲(薄い雲)と、いれた後の雲(濃い雲)では、ペットボトル内の雲粒の様子にも大きな違いがあります。 この違いが生まれる理由は、雲粒の数が多くなると凝結した水を奪い合うために雲粒の粒径が格段に小さくなることと関係しています。 エアロゾルによる雲粒の性質の変化は、降水効率等にも影響を与える可能性があり、気候変動の重要問題です。 しっかり手元でこれらの様子を確認してもらいたいと感じています。