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植物による光合成を実感するための実験

植物による光合成は、大気中の二酸化炭素を固定して温室効果を緩和する重要なプロセスです。 また、森林を増やしたり、海洋中のアマモなどのブルーカーボンを増やすことを通じた温暖化緩和策の重要な素過程でもあります。 学生に限らず、一般市民、学校教育の下で光合成によるCO2の減少の効果を実感することができるとたいへん有効です。 そこで、教育学部の生活・総合領域の学生を主たる対象にした専門科目「人間環境学1」のなかで、周囲によくある資材を使って日光の下での植物の葉による光合成の影響を可視化する実験を考えてみました。 最近は簡易なデジタルタイプの二酸化炭素濃度測定器がリーズナブルな値段で売られています。 充電できるタイプだとフィールドに持ち出して活用できるので便利です。 これを周囲に少し慣らしたあと、透明なビニール袋を日射の当たった草木に被せ、 その中に二酸化炭素濃度測定器を入れて軽くゆわいておきしばらく観察します。 すると、次第にCO2濃度が減少していく様子が見られます。 日付開始時所要時間終了時5月27日47810分400 同様の実験を何度かしてみましたが、いずれも十数分の間にCO2の値が減少している様子を示しました。 対照実験として、夜の日射のない時間帯に同様の実験を行ってみた際の結果をお示しします。 日付開始時所要時間終了時6月26日52120分620 次第に増加し、呼吸の効果が見られるようです。 周囲のCO2濃度もいろいろに変化することも考えられます。 期待される結果がどの程度確実に得られるのか、何度も確かめてみる必要があると考えています。 ただ、これまでのところ期待したものに近い結果が得られています。 うまく確実性が示されれば、植物による日射のもとでの光合成を可視化するにはよい手軽なツールになりうると考えています。 身近なものだけで実現でき、植物も傷めないのがいいところです。
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雲をつくる話

今年始まった全学共通科目「やってみる科学」で、ペットボトルに雲をつくる実験をやってみる試みをしています。 定番の実験ではありますが、エアロゾル(数ミクロン以下の直径の大気中の微粒子)の濃さが光の散乱に与える影響を客観的に測定できないか、あるいは、エアロゾルの量によって雲粒のふるまいはどう見た目かわるのかしっかり見てみる。といったことを丁寧にしてみたいと感じているところです。 山本先生、石塚先生のご協力のもと、エアロゾルの粒度分布を測る測器もお借りしています。 エアロゾルの間接効果という、地球温暖化影響評価に関する重要問題につながる実験を目指します。一味違う実験を学生と楽しめたらと感じています。 ペットボトル(炭酸飲料専用)にごく少量の水を入れたうえで炭酸キーパーという簡単ポンプを装着して空気を押し込むと、ペットボトル内の気圧を大きく上げることができます。 そのまま炭酸キーパーを外して一気に空気を放出して急激に気圧を下げたとき、ペットボトル内の水蒸気がエアロゾルを核にして凝結し、雲ができます。 ここに線香の煙を加えると、ペットボトル中のエアロゾル濃度がけた違いに増加し、そこで雲をつくるととても濃い雲ができます。 懐中電灯のライトや、プロジェクターの光等を通して見ると、ペットボトルはより白く曇ると同時に、映る影は逆に暗くなることがわかります。 雲が白さを増すとともに、日射を遮る効果がより強くなることを実感できます。 そして、エアロゾルが多いほどこの効果が強くなることもわかります。 つまり、大気中の微粒子が多くなるほど、雲は白さを増し、雲の影は濃くなります。 エアロゾルは長い間、地球を寒冷化に導く可能性があるとして注目されてきました。 特に、大気に対する人の影響が大きくなるにつれ、大気汚染が進行し、エアロゾルが増加してきています。 1980年代頃までは、このことによる地球の寒冷化が強く懸念されていました。 まずはエアロゾルが増加すると日射をより多く散乱して宇宙に返してしまうことによって地表を寒くする直接効果。 そして、エアロゾルが増加すると雲がより白さを増すことによって日射をより多く散乱して地表を冷やす間接効果。 ペットボトル実験は、エアロゾルの効果による間接効果を目の前で実感できる実験として重要です。 ところで、線香の煙を入れる前の雲(薄い雲)と、いれた後の雲(濃い雲)では、ペットボトル内の雲粒の様子にも大きな違いがあります。 この違いが生まれる理由は、雲粒の数が多くなると凝結した水を奪い合うために雲粒の粒径が格段に小さくなることと関係しています。 エアロゾルによる雲粒の性質の変化は、降水効率等にも影響を与える可能性があり、気候変動の重要問題です。 しっかり手元でこれらの様子を確認してもらいたいと感じています。
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Gomyo倶楽部の棚田を訪ねました

去る6月19日、東さぬき市の五名地区で棚田を中心に、 周囲の里山の再生を目指して取り組みを進めている Gomyo倶楽部さんの管理されている棚田を訪れました。 いろいろな学びがありました。 Fig. 1 五名の棚田の様子 水田のいろいろな種類の稲が植えられていて、 無農薬の管理をされているのでため池にもさまざまな動植物が住んでいて、「生物多様性」を実感できます(Fig. 1)。 いろいろな種類の蛙とおたまじゃくしが元気に跳ね回っています。 Fig. 2 香川大学チームの田んぼ いちばん標高の高いところにある1枚の田んぼをお借りして(田植えさせていただいた)ので、 この田んぼをターゲットにして、創造工学部の石塚先生、山本先生らのチームがカメラを設置して田んぼの変化を撮影しています(Fig. 2)。 ひきつづき水文・気象観測も実施し、 リアルタイムでデータを転送するシステムを作る予定とのことです。 田んぼの管理にも役立つと思います。 周囲には2004年の台風災害の後にできた砂防ダム(写真)やコンクリート水路があり、 棚田を守っています。 電柵が張り巡らされているのは、イノシシや鹿、猿などによる獣害対応です。 里山に人の手が入りにくくなっていることが背景にあるそうです。 イノシシのヌタ場があり、かつては人が炭を焼いていたエリアも明け渡した格好です。 炭焼きと経済の関係も大きく変わっています。
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GCS34 旧加佐郡大江町の水環境: 郡村誌研究と気象データ分析の結合をめざして

Time and Date 10:00-12:20 Venue 香川大学 ICEDS Project Room Lecture 村山 聡(香川大学): 大江町の河川と溝:郡村誌から抽出できる水供給システム 寺尾 徹(香川大学): 気候データで由良川流域(舞鶴・福知山)はどう見えるか? Brochure
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